澎湖海洋資源館は漁業や海産物、澎湖の漁民の生活風景など、海に囲まれた島ならではの海洋資源にテーマを絞った小規模な博物館です。この記事では主な展示内容と見どころをご紹介します。
エントランス〜A館
建物はワンフロアのA館とB館に分かれていて、内部でつながっています。出入り口はA館にあたります。
入場後、最初に目にするのはガラス張りの床の下に見える海底と干潟の風景です。このエリアでは澎湖の珊瑚礁の生態について解説しています。
澎湖に生息する様々な種類の珊瑚を展示しています。澎湖のビーチでは白い珊瑚のかけらをよく見かけます。場所によっては砂浜全体が珊瑚という場所もあります。
サンゴ礁についたサンゴと、赤サンゴを加工して作ったカニや伊勢海老の工芸品が展示されています。
珊瑚礁の中に棲息する生き物について解説したパネル展示もあります。
その次に現れる広めの空間には壁画と実物大の人形を用いた展示があります。澎湖の至る所で見かける、海と共に生きる島民の生活。海産物を扱う人々の活き活きとした姿は今にも動き出しそうな躍動感があります。
澎湖の女性は日焼けを防ぐために目元以外を完全に隠した覆面のような姿で働いています。
寒い時期にしか採れない野生の「海菜」を収穫する女性の人形。
同エリアには海藻の加工品や海中の危険生物、甲殻類の標本などの展示があります。ぐるっと回って出入口の方に近いエリアには澎湖特産の魚介類を使った料理の食品サンプルが展示されています。
「沙拉鎖管」は茹でたイカにマヨネーズをつけて食べるシンプルな一品。素材の新鮮さが際立つ料理法です。
サービスカウンターの近くには澎湖に関する書籍が多数置いてあります。またショートムービーが鑑賞できる小ホールもあります。中国語のみですが、ストーリーが結構面白いので、時間があれば最初から最後まで通して観ることをおすすめします。
通路〜B館
再び奥に戻って進んでいくと、A館とB館をつなぐ通路があります。
ここでは精巧な木製の船の模型と、実際に回せる操舵輪が設置してあります。
A館に比べると、この操舵輪や押しボタン式展示など実際に触って楽しめる展示が多いので、小さいお子さんはこちらの方が楽しめるかもしれません。
B館は主に漁業にまつわる展示物で構成されています。
海底景観の展示では、海底を模した大きなガラスケースの中に巨大なカニや伊勢海老など海棲生物の標本が展示されています。
隣のブースでは澎湖で伝統的に使われている漁具が実物展示されています。
廃タイヤを再利用して作ったゴムサンダル。海の中で使っても滑りません。
赤崁の4300〜4700年前の遺跡から出土した網のおもり。
実際に使われていた漁業用のボートもあります。
漁村の生活風景のジオラマ展示も見ものです。こちらは澎湖の伝統家屋である三合院の模型。洗濯物や家の周囲にある漁具やゴミまで、澎湖の漁村の生活が非常によく再現されています。
澎湖の海で見かけるハート形の「石滬」。石を積んで作った魚獲り用の仕掛けです(実際はもっと沖合いにあり大きいです)。同じく石で作った「抱礅」という漁法で魚を捕っている人もいます。
地引網などの網を使った人力の漁法の様子です。今にも動き出しそうです。
その他に漁船による漁法、養殖場、澎湖の経済的海産物とその分布・漁獲法といった展示があります。
こちらは澎湖で盛んに行われている牡蠣の養殖場を海中から見た模型です。
珊瑚は装飾品や工芸品として使われることが多いですが、澎湖では建材としても使用されています。
本物の珊瑚を積んだ石垣(菜宅)と、その上に生えた「澎湖絲瓜(別名稜角絲瓜、十角絲瓜)」のレプリカもありました。澎湖では貝や貝柱と一緒に炒めたり、イカや牡蠣と一緒ににゅうめんに入れて食べることが多いです。
オープンから30年近く経つため、年月の経過により醸し出された独特の雰囲気があります。「未来の海底世界」のレトロフューチャー感が素敵!
メイン展示以外の見どころ
前述したように、澎湖海洋資源館は開館してから年月が経過しているために展示物は壊れたままのものも多く、来場者も少ないためやや鄙びた雰囲気があります。その代わり、最近の博物館にはない味のある内装があちこちに見受けられます。
私が毎回写真に撮るのは海中を模したガラスケースにあしらわれている貝殻細工。貝殻をふんだんに使って表現された海の生き物や、最近の建物ではなかなかお目にかかれない装飾は見事としか言いようがありません。
そして澎湖ならではの「本物の珊瑚を使った石垣」を再現した壁。台湾では当地以外ではほとんど見かけないのではないでしょうか。 こういう細かいところの気合の入った職人技が本当に素晴らしいです。
漁網を使ったカーテンも素敵です。
澎湖海洋資源館は澎湖縣政府の文化施設が集まった場所にあり、1時間もあれば一通り見学できる規模の大きさです。2度目以降の澎湖観光やオフシーズン・雨の日などにおすすめの博物館です。
ぱな@澎湖の猫
電話番号:069261141
営業時間:9時00分~12時00分、14時00分~17時00分(月・火曜日、国定休日休み)
おすすめの滞在時間:約1時間
入場料:大人30TWD、学生15TWD、6歳以下と65歳以上は入場無料
公式サイト:https://phorh.phhcc.gov.tw/ch/index.jsp